NPO法人MASP は日本のものづくりの長所(多品種少量生産)を活かす情報技術整備を支援します!

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MASP概念の紹介

 

 はじめに

     

特定非営利活動法人技術データ管理支援協会の使命は「日本の製造業の長所を強化するための情報技術の整備と普及」です。本稿では提供する情報技術の骨格である「MASP(Manufacturing Architecture for Series Products)概念を紹介します。

       
 

MASPコンソーシアムと日本型マス・カスタマイゼーション

      技術データ管理支援協会は「1998年に発足しました。その頃はまだNPO法人制度がなかったので、「MASPコンソーシアム」の名の下に学会・ITユーザ、ITベンダー、コンサルタントの有志が集まり、日本型のマス・カスタマイゼーションの仕組みとそれを支援する情報システム概念を“MASP”としてまとめました。
多品種少量生産あるいは変種変量生産でありながら、上流工程では規格品(部品や材料)を大量生産し、中流から下流の工程で売れ行きや顧客の要望に応じて多様化し、最終的には個別受注生産であるかのように、個別顧客の毎回異なる要求を満たす製品を供給することが日本の製造業の長所であると考えています。ただし、顧客の要請に応じてそのような多様化を進めますと、規格品大量生産に比べて中間製品の在庫が増え、個別受注生産となるので製品生産コストは上昇し、生産リードタイムも長くなる傾向があります。このような問題を軽減して、規格品大量生産と対抗できるようにする手段として情報技術を用意する必要があると私たちは考えました。
       
 

企業連携による製造を支援する情報技

      日本製造業のもう一つの特徴は外注あるいは企業間連携による製造です。製品製造に必要な全ての能力を一企業内に持とうとすると、実に広い分野の技術者や製造設備を社内に抱え込まなければなりません。ところが、多品種少量生産を指向しますと同一技術を利用する仕事の量が少なくなり、遊休の比率が高まります。経営の負担になるだけでなく、技術者の志気も上がりません。
この問題を回避するために日本の製造業は外注加工や部品購入の形で外部の力を借りて製品を作って来ました。したがって企業間連携が必須です。従来は系列化して、親会社の命令どおりに働かせる、下請け泣かせの管理形態でした。しかし、下請けを泣かせると様々な問題が親会社に跳ね返ってきます。品質不良や納期遅れが頻発して、系列全体の力が弱くなります。逆に下請けが力を着けると、親会社の思い通りには働いてくれなくなります。
企業連携を円滑かつ効率的に行うためには情報と通信の技術が必須です。従来は集中処理型の情報技術でしたが、いまでは統合分散型の情報・通信技術に変わっています。ところが、情報システムとその構成要素であるソフトウエアを作る日本の情報産業の技術はまだ統合分散型に変わっていません。これを改革することも技術データ管理支援協会は目指しています。
トヨタ生産システムの「かんばん」は外注先を車の生産ラインに同期して働かせるための有力な方式です。しかし、この方式は一定速度で幾種類かの車を繰り返し生産することには適していますが、個別受注生産では繰り返し性がないため、上手く作用しません。この問題を解決するために情報共有すなわち、「重要工程の計画と作業進捗をデータベースに搭載し、周りの工程が情報を取りに行く」ことにより連携する生産活動の制御方式(気配り生産方式)を用意しました。
       
 

アーキテクチャ

     

 日本企業のものづくりは多様であり、さらに、外注工場や部品メーカなどの工程は異なる性質を持っています。これを一定の枠に嵌め込む「標準化」は日本製造業の長所を破壊するに違いありません。科学と技術は日進月歩していますから、一定の枠に無理して嵌め込んでしまうと、すぐに時代遅れになってしまいます。私たちはそのような無駄な「標準化」には取り組みません。

 日本製造業の長所を活かして技術を使い分ける、良い、役に立つ技術が現れたとき、それを速やかに活用することが肝要です。そのような技術を使い分ける技術様式が「アーキテクチャ」です。MASPは多品種少量生産あるいは変種・変量生産を目指して様々な技術を使い分けるための技術様式です。

 実際に「もの」を作る製品技術、生産技術、製造技術は企業毎に異なります。これらを取り扱う製造ビジネス情報システムに関して、アーキテクチャを研究し体系化しました。

 以下にMASPアーキテクチャの構成要素を紹介します。

       
 

製品構造と製造方法の多様性を捉える「ものづくり技術データ」

     

 MASPの基礎技術は製品構造と製造方法を統合表現する「ものづくり技術データ」です。これは従来部品表(BOM)および工程表(Routing)として分離表現されていました。そのために、内容の食い違いが生じがちでX様々なトラブルを誘発していました。しかし、製品構造は製造プロセスにおいて実現されます。分離するよりも製造プロセスをあるがままに表現すると、製品構造も現実に即して表現されます。

 製品仕様は絶えず改善・改良されます。技術の発達に伴って行われる改良、顧客のクレームに対処するために行われる改善、競争に勝つためのモデルチェンジなど、理由は様々です。その結果として製品仕様は多様化し、類似品が多種類出現します。それらの類似品を「品目群」として共通事項すなわち、共通部品だけでなく共通の工程や加工方法を統合管理することが肝要です。その上で個別品目(製品や部品)固有の個別事項を個別管理します。共通事項と個別事項を組み合わせて個別品目の製品構造と製造方法を検索できるように「ものづくり技術データ」管理システムを用意しました。

 「ものづくり技術データ」は製造ビジネスに使用する「もの」や人および行う「こと」の技術仕様のインデックスです。技術仕様の品質に関してはそれぞれの専門家に保証していただく必要があります。「ものづくり技術データ」管理システムは登録された「もの」や「こと」の関係を調べ、登録漏れや食い違いをチェックします。「ものづくり技術データ」が製造ビジネスのための「情報品質保証」の出発点です。

       
 

計画と現物の整合

     

 日本の高度成長の初期を支えたのは規格品を大量生産する米国型(ヘンリー・フォードが開発した)の製造ビジネス様式でした。ところが、品質不良に伴う改善とか、競争に耐えるための改良が頻発しますので、製品の製造番号に紐付けして部品や材料を手配する「製番管理型」の計画方式を人手で行ってきました。中島飛行機の「号機管理」、トヨタの「号口管理」などがその例です。

 製造現場である部品を取り上げたとき、それがどのお客様に納めるどの製品のための部品であるか分かるように、計画と現物を1対1対応させることが肝要です。そうであれば、お客様から仕様変更依頼が来たとき、的確に対応策を考えることができます。これはトヨタ生産システムで言う「一個造り」を可能にするための基本的な計画方式です。部品の品質不良が起きたとき、すぐに対応し、被害を最小限に食い止めることができます。

 いま日本の製造業では規格品大量生産向きの計画方式「MRPシステム」を導入する企業が増えています。部品や原材料類の所要量をタイムバケット単位で合算し、大量生産手配する方式です。価格で勝負するタイプのビジネスではそのほうが有利です。しかし、多仕様化した製品分野で行う多品種少量生産には「MRPシステム」は適していません。タイムバケット単位で合計しても量がまとまらず、量産効果が出ません。

 生産計画に製造番号を与え、その実行のために行う生産活動と、その生産活動のために投入する加工対象物の供給を計画するだけでなく、設備・機械や技術・技能者などの生産資源の使用も計画します。これは製品生産を一つの「プロジェクト」と捉え、多品種少量生産を「多重プロジェクト管理」として扱うことにほかなりません。

もちろん、共通性が高く、価格が安い共通品目についてはタイムバケット型の計画にすることができます。製品を人に例えますと、上半身が製番管理、下半身はタイムバケット型の生産情報システムを構築することができます。

 生産情報システムは生産管理の内容には介入しません。生産情報システムが提供する情報を利用して企業の特性、さらには製品や部品、原材料の特性、製造現場の特性に対応して適切に管理する仕組みを構築してください。在庫ゼロを主張するトヨタ生産システムでも「売れるものは作ってよい」と考えているそうです。

       
 

見込先行手配と段階的仕様詳細化

     

 計画と現物の整合を強調する理由は、製品仕様が未定のままで先行手配し、売れ行きや顧客要望に応じて段階的に仕様を決めて、最終的には個別顧客の要望する製品を一個造りできるようにすることです。見込先行手配により、納期短縮を図ります。仕様の未定部分を作り込む工程に差し掛かる前に営業や顧客に働き掛けて仕様を決めていただきます。

 高技術化が進につれて購買や外注ななどの形で外部の力を借りて製造する企業が多くなっています。その結果として原材料投入から最終製品完成までのトータルの製品製造リードタイム(生産リードタイム)が長くなります。製品仕様を固定して原材料・部品の調達計画を立てますと、生産リードタイム分だけ需要から遠ざかった仕様の製品を売る結果を招きます。

 見込先行手配により販売納期短縮を図りましょう。段階的仕様詳細化により、市場に敏感に反応して売れる製品を生産することにしましょう。

       
 

生産活動の制御

     

 現在の製造ビジネスは顧客や取引先の動きに敏感に対応して動くことが求められています。計画を立ててそのとおりに動けばよい時代は1990年代初期に終わっています。ビジネス活動を適切なタイミングで行うよう制御することが肝要です。

 生産活動をタイムリーに行うためには、活動に必要な加工対象物や生産資源類が用意できていなければなりません。それらを用意するためには別の生産活動を事前に行う必要があります。様々なビジネス活動を同期連携させるための制御方式がいま注目されています。トヨタ生産システムでは「かんばん」を利用して車の組立ラインの活動と部品生産工場の活動を、部品消費後同期(遅れ同期)させます。したがって、個別受注生産ではうまく作用しません。E.M.ゴールドラットの制約条件の理論およびDBR(ドラム・バッファ・ロープ)ではボトルネック工程の生産スケジュールを立て、前後の工程の活動がそれに従属するよう同期生産スケジュールを立てます。したがって、個別受注生産でもうまく作用します。しかし、部品メーカはスケジュールに振り回されて混乱に陥ります。サプライチェーンではうまく作用しません。

 技術データ管理支援協会は生産スケジューリング技術を利用して生産活動の同期を計画することを推奨します。ただし、現実は絶えず計画と食い違います。ビジネス活動の進捗を即刻把握し、適切な頻度で生産スケジュールを立て直す必要があります。生産現場の実情に合う制御方法をスケジューリング・ソフトウェアの中に組み込むことが求められています。現場制御のノウハウを「ものづくり技術データ」に登録しておきましょう。そうすればスケジューラはそれを参照し、実情に合うよう制御するスケジュールを生成します。

その各工程のスケジュールと作業進捗をデータベースに搭載して周囲の工程に開示しましょう。前工程が後工程のスケジュールと生産進捗を参照するなら、部品をいつまでに届ければよいか判断できます(気配り納入)。「かんばん」なしでも「同期生産」が可能です。生産スケジュールの先のほうを参照するなら、注文が来なくても部品を予め生産して用意しておくことも可能です(自律生産)。このような「かんばん」なしの同期生産を「気配り生産」と呼びます。

 気配り生産は個別受注生産でも企業間連携を円滑に行える生産活動の制御方式です。

       
 

ビジネス情報システムの設計

     

 技術データ管理支援協会はビジネス情報システムの構造とビジネス様式(ビジネス・アーキテクチャ)の整合が重要であると考えています。つまり、そのビジネスにまつわる諸々の事実を捉え、ビジネスに関与する人々に供給するよう情報システムを設計する必要があります。ビジネス情報システムは企業毎に異なり、一定の枠にはめ込むことはできません。しかも、出来上がった情報システムをビジネス内容が変化すると即応して変更しなければなりません。したがって、ビジネス情報システムは「永遠の青年」のように完成像を持たず、変わり続けられるものでなければなりません。

 ビジネス活動(「こと」)の事実を即刻現場で捉えて、「もの」が今こうなりましたと「もの」の状態を捉えるデータベースを更新する基幹系情報システムを設計します。基幹系情報システムには「ものデータ」と「ことデータ」が蓄積されます。そのデータを利用者データベースに配布して、利用者自らの手で抽出加工するエンドユーザ・コンピューティングを行うことにしてください。そうすると、基幹系情報システムは関心対象となる「もの」と「こと」の種類に対応する必要最小限の複雑性をもつことになります。ビジネス内容が変わると、ビジネスの関心対象となる「もの」や「こと」の種類や関係が変化するでしょう。そのとき、基幹系情報システムの内容を変更することになります。

       
 

ビジネスの事実を捉える情報体系:概念データモデル設計法

     

 良いビジネス情報システムを構築しようと思うなら、質の良いデータを設計することが肝要です。技術データ管理支援協会は実世界に存在する「もの」や実世界で行う「こと」の事実を捉えるようデータを設計する「概念データモデル設計法」を提供します。

 概念データモデルの設計を通して、ビジネスに関与する人々が持つ諸概念が明らかになり、共有されて意思疎通が円滑に行えるようになります。概念共有と情報共有が可能になりますと、複雑化したビジネスの仕組みを改革できる可能性があると人々が気付きます。

 利用者から見て意味が分かる、しかもビジネスの事実を素朴に表すデータを設計してください。情報システムはそのデータを実現する道具として設計することになります。

       
 

ビジネス改革と情報システム構造改革の同期:ビジネス改革プログラム

     

 概念データモデルを設計したとき、ビジネスの仕組みの一部分を急いで改革したい。その改革に関わる情報システム構成要素を実現したいという要望が出てきます。概念データモデルで描いた情報システムは「もの」と「こと」の単位に分解されています。したがって、比較的短期間で情報システム構成要素を実現することができます。例えば、最短30分で利用者データベースにデータを配布することも可能です。コンピュータ・プログラムであれば、1~2週間で開発あるいは変更することも可能です。長くても2ヶ月以内で情報システム構成要素を実現するよう、ビジネス改革課題を分解してください。

 そうすれば、ビジネス改革シナリオに沿って情報システム構成要素を構造改革できます。情報システム構造改革中にも変更要求が頻発します。その場合はしなやかにシナリオを変更して、対処しましょう。情報システム構造改革課題が小さく分解されていますので、変更要求の多くは影響範囲が小さく、シナリオ変更に至らないですませる場合が多いはずです。

 急ぐ、明確なところからビジネスの仕組みや情報システム構成要素を改革することができるなら、企業は生き生きと活動できるでしょう。それが技術データ管理支援協会の目標です。

       
 

情報品質保証アプローチ:アプリケーション体系

     

 情報システムが取り扱う情報の品質を保証するために技術データ管理支援協会は一貫したアプローチを提唱します。利用者が理解できるデータを設計すること、「もの」や「こと」の管理責任を持つ人達に「もの」データ、「こと」データの品質保証責任を持っていただくことが大前提です。

 まず、製品開発部門や生産技術部門に「ものづくり技術データ」に登録する製品や部品、原材料などの仕様と、製造プロセスや加工仕様についてデータ品質を保証していただく必要があります。「ものづくり技術データ」管理システムでは登録されたデータの関連を調べ、登録漏れや重複をチェックします。

 原材料・部品の調達計画(購買あるいは生産)を立てるとき「ものづくり技術データ」を参照して必要な「もの」を必要な時、必要な量だけ供給するよう、完全紐付け型製番管理の供給計画を策定します。生産品目については加工作業も計画しておきます。製品生産計画に対応しない計画や現物の存在は許さない方針です。

 作業指示するとき、加工対象物の供給可能性を確認し、また、加工を担当する設備・機械、技術・技能者や治工具・金型の存在を確認して作業を割り当て、作業の実行可能性を保証します。作業実績を把握するとき作業指示や「ものづくり技術データ」に照らして作業実績データの妥当性をチェックし、問題があればその場で訂正を求めます。

 ものづくり技術、計画と現物、作業とその実績に関して一貫して情報品質を保証する情報システムを構築してください。

       
 

ソフトウエア技術

     

 日本では「ソフトウエアはハードウエアよりも固い」と言われるほど、ソフトウエアの変更拡張の困難に悩まされています。変わり続ける企業を支えるビジネス情報システムにとって、ソフトウエア保守の負担を軽減する方策が必須です。

 技術データ管理支援協会は変更拡張が容易なソフトウエア技術を提供します。ただし、奇抜な方法でなく、正統的な(日本では忘れられた)ソフトウエア工学の方法です。データ構造に基づいてプログラム構造を導き、骨格部と詳細部を分け、詳細部のモジュールをテスト・変更・拡張し易くします。ERPパッケージのカスタマイズも一環に過ぎません。

 この技術を実証するために、技術データ管理支援協会はERPパッケージの中核部分を開発しました。「ものづくり技術データ管理システム」、「供給計画エージェント」、「なりゆきシミュレータ」などです。関心がある方は使ってみてください。

       
 

おわりに

     

 技術は進化・発展し続けます。単に新しい技術を追い続けると、ビジネス情報システムはばらばらになり「情報の孤島群」に変わって行きます。技術を適切に使い分け、変わり続ける企業を支える情報システムを構築し維持するための技術が情報システム・アーキテクチャです。情報システム構造改革のためにMASP概念をご利用下さい。

 

 


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