NPO法人MASP は日本のものづくりの長所(多品種少量生産)を活かす情報技術整備を支援します!

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2 生産情報システム

 技術データ管理支援協会(通称MASPアソシエ―ション)は「日本の製造業の長所を強化するための情報技術整備と普及」に1998年以来取り組んできました。
 日本の製造業の長所は顧客志向の改善・改良です。その結果として多くの企業で製品が多仕様化しています。売り易くなりますが、段取替え作業が増え、管理の手間も増え、価格競争力が低下します。
 ITを「自動化と省力」のためではなく、「多様性を上手に取り扱う」ために使うことを目指して私たちは情報技術を整備してきました。その基本概念は工程で顧客志向の付加価値を作り込む「日本型のマス・カスタマイゼーション」です。ドイツでは第四次産業革命(Industry 4.0)の中核技術として「マス・カスタマイゼーション」とIoTを据えています。マス・カスタマイゼーションとは、生産システムの下流でお客様の要望に合う製品を作り込み、価格競争力を維持するために生産システムの上流で規格部品を大量生産する新しい生産方式です。
しかし、ドイツ版のマス・カスタマイゼーションはモジュール組立型であり、大量生産する規格品の一部分しかカスタマイズできません。
 MASPが主張するマス・カスタマイゼーションはものづくりの現場で働く方々の能力を「顧客志向」で効果的に売る「加工サービス型」です。
 日本型マス・カスタマイゼーションを可能にする生産情報システム・アーキテクチャを活用していただきたく思います。

2-1 生産情報システム・アーキテクチャMASP

まず、生産情報システム・アーキテクチャを学んでください。アーキテクチャは技術を使い分けるための「技術」です。製造ビジネスは急速に高技術化し、複雑になっています。「トヨタは上手にITを使う会社になった」と1990年代後半にトヨタ自動車の経営者が語り始めました。
 ビジネス・アーキテクチャに整合する情報システム構造を説明します。
「情報システムのビジネス整合」を図るために、トヨタ生産方式を始めとする有力な製造ビジネス・アーキテクチャを紹介します。さらにその生産方式を支える情報システム・アーキテクチャを紹介します。
 トヨタ生産方式は「コンピュータをできるだけ使わないで済ませる生産方式」であると大野耐一氏(トヨタ自動車の元副社長)は主張しました。しかし、現在のトヨタはITを上手に使う会社に変身しています。
 1990年代にM電機はERPパッケージを導入して「パッケージに合わせて業務改革」するとともに、「かんばん」方式を組み合わせようとしました。これは異質な情報システム・アーキテクチャであることにきづかないための愚行です。同様にT社、S社も同様に愚行を繰り返し、外国企業に事業売却する事態に陥っています。
 製造ビジネス方式を学び、生産情報システム・アーキテクチャがどのように影響するか学んでいただきたく思います。
 生産情報システムは建築物と同様に層構造を持っています。さらにその下層にはITのハードウエアや基本ソフトウエア類があり、その上にデータベース管理や通信制御のミドルウエアがあります。これらのITは様々な理由、(例えばITベンダーの競争戦略や、セキュリティホールの改善)などでしばしば変更されます。生産情報システムに最下層の変更の影響が及ばないようするための方策として層構造化が必要です。
 ものづくりの基礎は自然法則です。自然法則を利用して技術規則を設け、さらにビジネス規則を設けるでしょう。生産情報システムの最下層はものづくり技術を表すマスタデータとその管理エンジンが必要です。一般に製品を構成する原材料や部品を表す「部品表」や「原単位表」が使われています。ところが、トヨタは「工程部品表」(「基準工程表」とも呼ばれる)を持っており、部品表とは異質です。しかし、これらの方法では構成データの量が爆発的に増加し、様々な問題が起きがちです。データ量の増加を防ぐためにお客様の要望を断る傾向がでてきます。
私たちは日本の製造業の長所を強化するために「統合工程部品表」とその管理エンジン“FBOM”を開発しました。会員である(株)エクサ殿は“SPBOM”を持っています。これをベースとしてMASPアーキテクチャを整備し、業務用ソフトウエア・モジュール群を用意しました。MASP(Manufacturing Architecture for Series Products)は改善・改良を得意とする日本の製造業を支える生産情報システム・アーキテクチャです。
統合工程部品表データを利用して、生産活動に必要な人や機械、加工対象物を調達・供給する仕組みが必要です。トヨタ生産方式で言う「現物管理」が肝要であり、それは「計画」に則って調達・供給しなければなりません。不用意に「もの」を買い込むと、技術の発達が速い現在では、技術的遅れを招きかねません。「もの」の調達・供給方式はビジネス・モデルやサプライチェーンと深くかかわっています。この部分が第2層を占めます。
「もの」が計画的に調達・供給できるようになると、価格や納期に関する競争力を高め、ひいては利益向上を図る「生産スケジュール」と進度管理(Shop Floor Control)が必要です。日本企業が競争力を取り戻すために、現場の人たちが自律的に協調できるようにする生産スケジューリング技術と進度管理方式について説明します。トヨタ生産情報システムの「かんばん」は有名ですが、それはビジネス・モデルによって必ずしも有効には作用しません。
生産情報システム・アーキテクチャを通して、様々な生産管理技術の使い分けについて学んでいただきたく思います。

2-2 統合工程部品表管理

統合工程部品表は「ものづくり技術」の構造を表現するマスタデータです。ものづくりの現場で働く人たちの知識や知恵を登録・活用する情報システムの基盤を確立しましょう。
 トヨタ自動車は創業の時から「工程部品表」(「基準工程表」とも呼ばれる)を整備してきました。これはERPパッケージの「部品表」とは異質なデータ構造です。「かんばん」システムを背後で支えるために、部品構成と製造プロセスを一体化して表現する「工程部品表」が必要不可欠です。
 ところが、「部品表」と「工程部品表」はいま大きな壁に突き当たっています。多仕様化が進むとデータ量が増加し、改善・改良に伴うデータ更新に時間と費用が掛かります。顧客志向の改善・改良のスピードが落ち、安い労働力を武器とする新興国の製品に勝てなくなっています。
 つまり、部品表や工程部品表ではマス・カスタマイゼーションを支えられません。
 マス・カスタマイゼーションを可能にするために、私たちは多様性を上手に取り扱う「統合工程部品表」の仕組みとその管理エンジンを開発しました。株式会社エクサ殿と共同特許を取得しています。
 LIXIL社は5年ほど前に多仕様化が進み、生産管理の負担増大に悩んでいました。データ量は数千万件に達していたそうです。そこでエクサ殿が開発した統合工程部品表管理エンジンを採用しました。データ量は1/100、1/1,000、1/10,000に減少したそうです。素早く生産手配できるようになり、全工場でマス・カスタマイゼーションをおこなっていることが報道されました。  しかし、難しい話ではありません。ものづくりの現場で腕の良い方々が行っているものづくりの仕方を、あるがままにデータとして写し取っただけです。
 統合工程部品表はものづくりの知識と知恵を表現するマスタデータです。生産管理用のソフトウエアはこのデータを参照して作動します。ものづくりの方法を変えるとき、統合工程部品表を変更するだけで、対応できるでしょう。新製品を開発し、市場に出すときも、統合工程部品表データを登録するだけで済ませられます。もちろん、ものづくりの方法や製品構造の変更も、統合工程部品表を更新すれば、ほかのソフトウエアの変更なしで済ませられます。
 私たちの「統合工程部品表管理エンジン」は日本の製造業の長所を強化するための鍵となる情報技術を実装したソフトウエアです。類似品の共通部分を統合管理することにより、データ作成の負担を大幅に軽減し、併せて共通品のまとめ加工を可能にします。その上で個別部分を個別管理することにより、顧客志向の多様化を支えます。なお、この統合工程部品表管理に関して、私たち(特定非営利活動法人 技術データ管理支援協会)は株式会社エクサ殿と共同特許を取得しています。

2-3 供給計画

ものづくりを可能するには、加工対象物の供給が必要不可欠です。トヨタの「かんばん」は供給方式の一つです。多品種少量生産・受注生産・受注設計生産・規格品大量生産などのビジネス・モデルと供給方式の整合についてご理解ください。
 ものづくりの大前提として、加工対象物をタイムリーに供給する必要があります。高技術化が進む現在では、自社にない技術や加工能力を材料や部品の形で調達し、供給する状況になっています。ハイテク産業では、製造は労働力の安い地域の企業に任せ、高度な部品類の供給によって経営する形態に移行しています。
 外部の力を上手に活用するサプライチェーンの形成と臨機応変の制御を可能にするために、製品生産オーダ(需要)と材料や部品の調達(供給)のバランスを図る供給計画を策定しましょう。
 供給計画の方式は意外に多様で複雑です。トヨタの「かんばん」を支える「3ヶ月資材調達計画」と、コマツの「製番管理」、ERP/MRPパッケージの「タイムバケット管理」は異質です。つまり、供給計画方式はビジネス・モデルに深くかかわっています。  サプライヤ(原材料・部品メーカや商社)は交渉能力を持ち、有利な供給形態を主張します。有力なメーカは自社にとって有利なサプライチェーンの形成を目論みます。多重化し、錯綜する多数のサプライチェーンの中でサプライヤーは自社にとって有利な役割の獲得を目指さなければなりません。
 それは自社の供給計画の立て方と深く関わっています。社内で製造する部品についても、供給計画の一環として扱うほうがよいでしょう。私たちは、利用者の手で改善・改良できる供給計画ソフトウエアを提供します。

2-4 「なりゆきシミュレータ」

ものづくりの管理では「生産資源」(技術・技能者、設備・機械、治工具・金型)の上手な使いまわしが肝要です。保有する生産資源をフル活用して、できるだけ短納期で、お客様の注文に応えるために、生産スケジューリングが必要です。管理者の経験と勘を活かすための新しいスケジューリング技術を身に着けて下さい。
 「なりゆきシミュレータ」は私たちが提供する生産スケジューラです。製品や内外作部品の生産オーダとその製造プロセスと作業仕様および部品構成を表すデータ(「オーダネットワーク」)を模擬工場に与えると、上流の未着手作業から順に加工作業や制御を模擬実行します。
 その結果を見て、納期に間に合わない場合、残業や応援、設備保全日程の変更、制御方針の変更などの方策を考え、何回かシミュレーションして下さい。その中で一番好ましいケースをスケジュールとして採用することになるでしょう。  「なりゆきシミュレータ」では実行可能なスケジュールを策定し、達成可能な納期を提示します。お客様から引き合いが来たとき、無理のない納期を回答するための道具として使ってください。
 加工作業の進行状況をシミュレーションするだけですので、工場の管理者や熟練者が経験と勘で見積もっていた納期をほぼ裏付けする程度の役割しか果たしません。見積もりが狂う恐れがないことが取り柄です。
 したがって、「なりゆきスケジューラ」は生産活動の成り行きをITで推測させる道具です。他のスケジューラでは納期や生産資源の保有量と稼働予定を「制約条件」として与えると、数学的な手法で「全体最適化」を図ります。これに対して、私たちは、納期や生産資源の保有量と稼働予定は状況に応じて変更できる(制約条件ではない)と考えています。なりゆきを捉えて、条件を変えてシミュレーションして下さい。
 「なりゆきシミュレータ」は統合工程部品表や、模擬工場(技術・技能者、設備・機械、治工具・金型などから成る)のデータ(「マスタデータ」)を参照して作動します。マスタデータに加工作業や制御方法を模倣するモジュールを登録して下さい。作業方法の改良、設備の改善・改良や制御方法の変更などを行った場合、マスタデータに登録したモジュール名を入れ替えると「なりゆきシミュレータ」はそのまま(ソフトウエアの変更なし)で作動します。新しい作業仕様や制御方法については、対応するモジュールを開発する必要があります。
 このようなやり方で、ビジネスの仕組みに合うよう、「なりゆきスケジューラ」を改良・進化させてください。他のスケジューラでは、「パッケージに合わせて業務を改革する」ことを要請するケースが多々あります。「なりゆきシミュレータ」では「業務に合わせてパッケージを改良する」ことをお勧めします。

2-5 進度管理(Shop Floor Control)

 ビジネス活動は計画通りに進行するとは限りません。スケジュール通りに働けと要求しても、設備の調子や、輸送の滞り、など様々な理由で狂いが生じます。
 働く方々が状況に応じて自律的に行動することが望まれます。ただし勝手な行動でなく、周りの方々との連携も必要です。そのような進度管理を支援するための仕組みを用意しましょう。
 製品生産計画を確実に達成できるよう生産活動の同期連携を図ることが進度管理の目的です。生産活動は必ずしも計画通りに進行するとは限りません。機械の調子が狂うとか、予定以上のペースで加工作業が進行するなど、想定外の状況が頻繁に起きます。その状況に応じて適切に同期連携の仕方を工夫する必要があります。
 トヨタ生産方式の「仕掛かんばん」の枚数制御はそのような変動を吸収する仕掛けです。ゴールドラットの制御方式DBR(Drum Buffer Rope)のタイムバッファも変動の吸収策です。ところが、そのどちらも働く人たちにとって若干の余裕はありますが「スケジュール通りに働け」と要求しています。働く人たちは命令されたとおりに働かなければならないで、次第に労働意欲を失いがちです。
 1980年代から生産性を高める方策として「自律・協調・分散」が肝要であると有識者が指摘しました。供給計画と生産スケジューリングによって、職場に分散配置された方々が同期連携するよう仕組みができています。しかし、「自律」が不十分です。  働く方々が「自律」、つまり自分の意志で、自分の仕事を適切に行えるよう工夫し、働く”self control”が可能な仕組みを構築することが求められています。自律するためには、周囲の状況を把握して、ほかの人たちと「協調」が欠かせません。周囲の迷惑を顧みず、ひたすら働くと、同期も連携もできず、職場は混乱するでしょう。
 協調を支えるために、生産活動の進行状況を即刻把握し、職場で働く人たちが事態を知る仕組みが必要です。さらに、工夫するとき、その案がどのような影響を周囲に及ぼすか、考えるための情報も必要です。
自律する人が周りの人と相談して、適切に行動できる自律・協調・分散型の進度管理について検討して下さい。日本規格協会から1994年に「気配り生産システム」(ITを利用して自律・協調・分散を可能にする)に関して私たちは賞をいただいています。

2-6 設計変更管理

 工業製品は日進月歩で進化して行きます。製品の改善・改良だけでなく、モデルチェンジや、新しい分野の製品開発なども含めて、設計変更活動を上手に管理する企業が優位性を占めます。放置すると、何か製品仕様に関わる事故が起きたとき、調査とリコールの範囲が爆発的に広がり、経営危機を招きかねません。
 設計変更管理の必要性と方法について解説します。
 製品を構成する部品や材料を表す「部品表」のデータは多くの企業で膨大な量になっています。2000年頃、トヨタが部品表管理システムの構造を改革し、それをベースとして全てのアプリケーション(業務システム)の構造を改革すると報道されました。その頃、トヨタは数億件の部品表データを抱えていたそうです。顧客志向の改善・改良に取り組む企業では大量の部品表データを管理しなければなりません。
 技術発達する高技術を取り入れるとか、価格競争力を高めるために安い原材料・部品を購入するなどの理由で部品表を更新する「設計変更」あるいは「仕様変更」が頻発します。部品表のデータ量が多くなりますと、設計変更に伴う部品表データの更新作業に時間と費用が掛かり、大きな負担になります。ある設計変更のための部品表更新作業に手間取っているうちに、あとで発行した別件の更新作業のほうが追い越す現象がしばしば起きます。その結果として、あとで発行した設計変更データは打ち消され、古い仕様に戻りかねません。
 設計変更管理の煩雑化により様々な問題が起きています。
 仕様トラブルが発生し、リコールする範囲が想定外に広がる。設計変更に伴う部品表更新作業を避けようとして、顧客の要望を断る。安い部品や材料を見つけても、部品表更新に掛かる費用のほうが大きくなり、利益向上に結び付かない。仕様ドキュメント(紙、写真、画像、NCプログラム)を更新するが、部品表データの更新は遅れるあるいは放置する。設計変更の手間を嫌って、新規設計扱いし、同じものを何度も設計する。(つまり、無駄な設計作業が発生する)などです。
 現在の部品表の設計変更は「版(バージョン)管理」になっています。これは、仕様ドキュメントの版管理と品目コードの版管理を1対1で対応させようとしています。しかし、仕様ドキュメントを作る手段が多様化し、品目の版と、仕様ドキュメントの版は多数対多数の関係になっています。
 価格競争力を高めるために部品や材料を共通化しますと、その仕様変更は多数の製品や組立部品に影響します。設計変更管理で失敗すると、お客様に迷惑を掛けかねません。特に、補修部品供給で失敗する恐れがあります。
 このような問題を解決るために、私たちは「設計変更管理ブラックスワン研究会」を開催し、「統合工程部品表管理」の仕組みと「ドキュメント管理」の仕組みを疎結合化し、その間を繋ぐ「設計・設計変更プロジェクト管理」の仕組みを導入しました。まだソフトウエアとしての実装は始まったばかりです。部品表管理、設計変更管理に悩む方々に、私たちの解決策を解説します。実装は企業毎に異なりますので、自分で取り組んでください。なお、統合工程部品表管理に関する共同特許の関係で、非会員は実装できません。実装を希望する方は私たち(技術データ管理支援協会)あるいは(株)エクサにご相談ください。
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