NPO法人技術データ管理支援協会(略称:MASP)では、新規の会員を募集しております。
ご興味のある方はお気軽にお問合せください。
1.技術データ管理支援協会(趣旨)
この法人は、日本の製造業の長所を強化する情報技術及びその適用方法論を研究開発します。
その成果を広く一般の個人の方及び不特定の企業と団体に普及させるために
講習会・シンポジウム・ワークショップを開催すると共に、その成果の導入を希望する企業に対して
生産業務初期診断及び導入支援を行い、製造業の経済活性化に寄与することを目的とします。
2.(沿革)
技術データ管理支援協会は、2005年にNPO法人として発足し、企業活動支援をとおして、現在に
至っております。
3.活動内容
千葉県中小企業支援活動
オンライン講習会開催
4.年会費
・個人会員
初年度:入会金1万円、年会費1万円
次年度:年会費1万円
・法人会員
別途ご連絡
5.申し込み又は問い合わせ窓口
メールアドレス:inquiry.masp@gmail.com
事務局宛て
ユーザ事例紹介
FBOMの導入事例として、株式会社OXエンジニアリング様を紹介します。
同社は、車椅子の製造・開発を行う企業であり、多種多様な製品を扱っています。室内用、外出用、レースやテニスなどの競技用、リハビリ用など多様であり、幅広いユーザを有しています。数多くのアスリートがOX社の製品を競技用車椅子として採用しています。そのため、大量生産は困難であり、お客様の健康状態や要望にあわせて製品を提供します。お客に選択してもらう仕様を用途・使用条件として用意し、それらを組み合わせることにより、顧客のニーズに応えています。また、競技用車椅子では、部品の仕様を調整するだけでなく、新たに設計・開発する事態が頻繁に起きます。このような事情に果たして、MASPが提供するITで対応できるのか十分な検討が必要でした。そこで、お客様の声として同社の社長にお話しを伺うことにしました。
同社は、2020年頃から統合工程部品表(FBOM)となりゆきスケジューラを中核とする生産管理システムの導入に取り組み、多様なお客様のニーズに柔軟に対応したものづくりを推進しています。
-統合工程部品表(FBOM)
-用途・使用条件による多仕様対応
-受注・販売管理
-供給計画/なりゆきスケジューラ
-資材・購買管理
-生産指示・実績管理
質問1.貴社の車椅子はどんな製品でしょうか?
車椅子の価値観を変革するような軽量、強靭で格好が美しく、操作性に優れた高性能な製品の開発、製造を行っています。さらに、ユーザの視点で車いすを一から考え直し、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広いラインナップでお客様のリクエストに応えています。身体状況や使用環境に合わせてパーツを選択でき、さらに調整機構により、お客様にフィットする車椅子を実現しています。100種類以上のカラーや、豊富なアクセサリーの選択も可能としています。
質問2 FBOM、なりゆきスケジューラの導入を決めた理由について教えて下さい。
多仕様製品に対応できる生産管理を探しており、市販の製造業用ERPパッケージを調査しました。その中からわが社の製造ビジネスの展開に相性が良いのは、多仕様製品を扱えるFBOMであることがわかり、本格的な検討を始めることにしました。
質問3.受注設計部分があり、部品構成のデータを作るのは大変だったと思います。大手製造業A社では、製品仕様が数千万件に達し、生産手配が間に合わない状況になったと聞いています。
多くのパッケージは、製品仕様が異なる毎に「製品コード」を発番しなければなりません。あるパッケージでは、オプションを指定して製品を構成する部品を追加・削除できるものがありました。しかし、あるオプション部品を付けるには、幾つか細かな部品の仕様も変えなければなりません。そのような、多段階にまたがるオプション指定ができるパッケージはありませんでした。
質問4 どのような進め方をしたのでしょうか.
具体的な検討をするために、まず、システム化の推進を担当している5名で、2日間の研修を受けました。その後、テストデータを用いた検討を数か月に渡り行い、また、現状動いている仕様管理や、生産管理のシステムからデータを取り出し、データ整備の計画を立案しました。システムの載せ替えを決定してから、2年程度の時間を費やしてデータの整備を行い、少しずつ切り替えていきました。
質問5 どのような変化があったのでしょうか。
従来では,仕様管理や現場管理など別々の仕組みで動いていました。そのため、全体が見えず、手で編集をしないと全体の流れがつかめませんでした。今回の導入で生産と販売がつながったことにより、一気通貫でデータが見えるようになりました。この結果、たとえば、ある仕様に対応する生産の少ない部品の取り扱いをやめて、社内の資源を新製品に振り向けるなどができるようになりました。
質問6. システム構築にあたり苦労したことは何でしょうか。
人の問題が大きいと思います。今できているところが、新しいものに変わる、使い慣れたシステムを変えようとすると現場の抵抗が大きくなり、先に進まなくなります。そのような時にも諦めずに、とにかくやりきるという強い意志と覚悟が必要だと思います。また、現業の業務をしながら、新しい仕組みを理解し、受け入れるまでにはある程度の時間が必要です。じっくり進めることで、現場の理解が得られるようになり、成功に結びついたと思います。
質問7.MASPが提供したソフトウエアを利用した後で、投資回収あるいは、業績向上はできたでしょうか? 導入の効果について教えて下さい。
システムの入れ替えになるため、投資回収はこれからですが、回収の見通しは立っています。まずは、部署間での言葉の違いを整理できて基準が明確になったこと、個別のシステムではなく各部署がシステムを通じて共通の土台で対話できることから、属人的な業務は大幅に減りました。またデータをみることにより、すぐに経営に利用できるようになりました。現在は、受注生産の業務が整理できたところであり、これから共通品などの見込み生産に取り組む予定です。ここでは大幅な在庫削減が期待できますので、メリットはかなりあると考えています。
質問8. 最後に、今後の展開予定についてお聞かせください。
ソフトウエアの方は使い始めて、いろいろ、変えたい箇所が出てきたため、素早く変更し続けました。今後は仕様管理、現場管理、受注管理との統合をさらに進め、より効果的なシステムになるよう成長させていきたいと考えています。
おわりに
多仕様製品の生産管理にはFBOMがジャストフィットします。製品仕様や生産業務を生産管理システムの制約に合わせるのでなく、メーカーの想いをそのままシステムに反映することができます。また、ITの詳しい知識がなくても、ITの適正な使い方や利用方法を知ってビジネスに応用すると、ある程度の効果が上がると、私たちMASPは考えています。MASPは、ビジネスにITを活用するときの考え方を用意して、さらに、製造業用ソフトウエアを用意しました。ITの使い方について、お気軽にご相談ください。
株式会社OXエンジニアリング様のホームページ
NPO法人技術データ管理支援協会(MASP)の重鎮であられる手島歩三氏が永年にわたる
情報システムのSE活動のなかで培ってきた技術ノウハウの集大成を広く伝授するた
めに特別講座を用意しました。手島氏は日ごろから、日本のDXアプローチに対して危
うさに警鐘を鳴らすとともに、まっとうなアプローチを模索し、語ってもらいます。