第1期 DX講座

第11回 第4部 事例 生産情報システムの簡素化
        4.3 日本固有の生産方式「Seiban」

個別受注生産と規格品大量生産の狭間で「もの」(加工対象物)の確保が欠かせない。現在の工業製品高度化し、複雑化しているので、サプライチェーン全体にまたがるモジュールや部品、原材料の供給を計画しなければならない。
 ところが、計画し、調達手配(生産or購入)しても、急ぎの製品生産オーダ―に横取りされる恐れがある。この問題を避けるために、日本では製品生産オーダに紐付けして調達手配する「製番管理方式」を採用して来た。トヨタの号口管理もその一種だ。
 ところが、1970年代にIBM社が日本に紹介したMRPシステム(現在の製造ERPパッケージの中核部分)は現場のビジネス連携を意図していない。つまり、ベルトコンベアで背品を組立てる製造ビジネス用のソフトウエアだ。
 顧客志向の製造ビジネスには、個別受注生産や多品種少量生産を支える製番管理方式の部品供給計画が必要不可欠だ。量産したい場合どうすればよいだろうか? 共通部品の類はMRPシステムに内蔵されているタイムバケット方式で供給計画を策定すれば十分だ。
 「ソフトウエア・パッケージに合わせて業務を改革する」のは愚の骨頂だ。
 「かんばん」が有効に作用するのは「3ヶ月資材調達計画が届くTier3までの話だ。現在の工業製品は高度化し、複雑化している。つまり兵站線が間延びしている。悪意ある企業や国家が間隙を突けば、容易に製品メーカを揺さぶることができる。米中経済戦争は規格化されたモジュール供給に関する争いだ。
 C. Fineが言うサプライチェーン・デザインを実現・操作する道具として資材供給計画を見直していただきたい。日本企業が得意とする「仕様未定段階での見込み先行手配」(対応する英語がない)もその中に含めておこう。

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